相談事例14(吹田市在住の方からのご相談)夫が婚姻前から保険料を支払い続けている積立式の生命保険があるが、当該生命保険も財産分与の対象となるか?
積立式の生命保険は、解約すれば解約返戻金が保険会社から支払われる財産ですので、財産分与の対象となります。
また、夫婦の一方が婚姻前から保険料を支払っていた生命保険を婚姻後も継続した場合、
婚姻後に夫婦で協力して得た財産から保険料を支払った結果、当該生命保険の価値(解約返戻金相当額)が婚姻後に増加したと考えられますので、当該生命保険も財産分与の対象となります。
ただし、生命保険は別居時の解約返戻金相当額で価値を評価することになりますが、
このうち婚姻前に保険料を支払った分に対応する部分については、専ら保険契約者である夫婦の一方の寄与のみによって形成した財産といえます。
そのため、当該生命保険については、
財産形成に係る寄与を夫婦2分の1ずつ(別居時の解約返戻金相当額を折半する)と考えるのではなく、
婚姻後に保険料を支払った部分だけに夫婦それぞれの寄与があったことを前提として
夫婦の寄与度を確定し、それぞれの寄与度に応じて財産分与額を算定する必要があります。
本件の場合も、夫が婚姻前から保険料を支払っている積立式の生命保険は財産分与の対象となりますが、婚姻前に保険料を支払った期間及び婚姻~別居までに保険料を支払った期間に応じて夫婦それぞれの財産形成に係る寄与度を確定し、財産分与額を算定する必要があるでしょう。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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