1 財産確保の必要性
熟年離婚する場合、子どもは成人していますので、妻は養育費を受け取ることができません。年齢が高いため、就職して生活費を確保することも困難です。
そのため、熟年離婚においては、財産分与で十分な資金を確保することが極めて重要になります。
2 財産分与対象資産の調査
熟年者の場合、若い方と違って大きな資産を形成されている方が多いです。
そのため、財産分与の対象となる財産を全て調査して、財産を正確に把握することが必要となります。
熟年者は、多大な資産を相手方に渡すまいと財産を隠す傾向がありますから、離婚を切り出す前に財産調査を終わらせておく必要があります。
何が財産分与の対象になり、それを立証する証拠をどうやって収集するかについては高度な専門的知識・経験が必要です。
したがって、離婚問題を専門とし、財産分与問題について多数の相談・事件を取り扱っている弁護士に相談する必要があります。
3 財産分与対象動産には以下のものがあります。
① 不動産(自宅・収益物件)
② 預貯金
③ 保険(生命保険・学資保険等で貯蓄型のもの)
④ 動産(車・家財道具等)
⑤ 有価証券(株式・会員権等)
⑥ 退職金(将来受け取るものも含む)
⑦ 企業年金
このうち①不動産②預貯金については、サラリーマン・公務員・大学職員に特有な問題として解説し、ここでは③保険④動産⑤有価証券⑥退職金⑦企業年金について解説します。
〇保険
掛け捨ての生命保険には財産的価値はありませんが、積立式の生命保険については財産的価値があります。
熟年者の場合、長年にわたって保険金を支払っていますから、解約する場合の解約返戻金が数百万円になることがあります。
これを調査して財産分与の対象としなければなりません。
〇動産
家財道具は一般に時価評価額が極めて低いので、財産的価値を検討して財産分与することはほとんどありません。テレビ・レコーダー・パソコンなどをどちらが引き取るかが問題になる程度です。
しかし熟年者の場合、夫婦の一方が宝石等の貴金属、高級な時計・自動車、小型船舶などを所持していることがあります。これらは全て夫婦共有財産になり得ますから、これらを調査・時価評価して財産分与しなければなりません。
〇有価証券(株式・会員権等)
熟年者の場合、余った資産で株式投資を行っていることがあります。
このような場合には、その株式を調査・特定して評価し、財産分与の対象とする必要があります。
〇退職金
熟年者の場合、既に退職しているか、または近いうちに退職する可能性が高いです。まだ支給されていない退職金であっても、退職金は財産分与の対象になります。
実際に退職するのが何年か先であっても財産分与対象とできますので注意が必要です。
まだ支払われていない退職金の場合どうなるかについて、離婚を専門としない弁護士の中にはご存知ない方が多いです。
現在では、大阪家庭裁判所でも東京家庭裁判所でも、「まだ支払われていない退職金も財産分与の対象とする。」という運用がなされています。
かつて裁判所は、「退職まで7年以内であれば、財産分与の対象とする」という運用をしていました。そのため60歳定年の場合、53歳を超えるかどうかが一つの基準となっていました。法律専門書にも同様なことが書かれています。そのため弁護士の中にも、かつての裁判所の運用を説明する人がいます。
しかし、退職金は労働の後払的性格のものですから、現在では、いかに若くとも退職金は財産分与の対象とされます。具体的には、別居時に自己都合退職した場合の退職金を算出し、それを財産分与対象財産とするのです。この裁判所の運用に即した戦略が必要になってきます。
退職金については最新の裁判所の動向に即した戦略が必要となります。離婚問題について研鑽を積んでいる経験豊富な弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
〇企業年金(確定搬出年金・確定給付年金等)
確定搬出年金・確定給付年金等の企業年金は、厚生年金と異なり年金分割の対象にはなりません。
しかし、退職時に一時金と年金とを選択できる企業年金の場合は、一時金を選択した場合の見込み額を基準に財産分与されることが多いです。退職金と同様、高額になることが多いので、注意が必要です。
4 財産分与の割合
一般の会社員の場合、夫婦共有財産を財産分与するときには、夫婦それぞれが2分の1ずつ取得します。たとえ妻が主婦で収入がなかったとしても、妻が育児・家事をしたことは、夫と同じ収入の労働をしたと評価されるのです。
5 年金分割
夫が厚生年金を支払っていた場合、主婦だった妻は夫の年金の分割を請求できます。分割してもらえるのは、夫が婚姻期間中に納めた厚生年金部分です。したがって婚姻期間の長い熟年者の場合、分割してもらえる年金は若年者に比べて多くなります。
年金分割については必ず手続きすべきです。
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<p><strong>平成4年3月 一橋大学法学部卒業</strong></p>
<p><strong>平成9年 司法試験合格(52期)</strong></p>
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<p>離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。</p>
<p>また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。</p>
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<p>問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。</p>
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