日本の離婚状況

厚生労働省が2015年1月1日に発表した人口動態統計の年間推計によると、2014年度の日本の離婚率は0.18%となっています。

離婚率が0.18%ということは、人口1万人当たり18人が離婚しているということです。婚姻率の数値は0.52％なので単純に計算すると、ある役所では1日に婚姻届を提出するカップルが3組、離婚届を出すカップルが1組いるという計算になります。

離婚率は平成14年を境に減少を続けており、最盛期には0.2%を超えていました。現在では離婚率は低下したものの、戦後の離婚率を比較してみるとかなりの高水準であるといえるでしょう。
離婚率上昇の原因はいろいろ考えられますが、個人主義が浸透したのは大きな原因の一つといえるでしょう。離婚したカップりに離婚理由を尋ねた調査の結果ではトップが「性格の不一致」次いで「浮気などの異性問題」や「浪費」といった理由が続きます。相手の性格を我慢して受け入れるよりもさっさと別れて自分を大切にする。そんな考えで離婚する人は珍しくなくなり、個人を尊重する生き方が尊ばれる現代においてはある意味で称賛される行為です。じっと我慢して結婚生活を続けるというのは、もはや古臭い過去の考え方といっても過言ではありません。

離婚率上昇のもう一つの原因と考えられるのが共働き家庭の増加です。離婚して一人で生活するのが苦しいからという理由で離婚を回避するケースは昔は少なくありませんでしたが、夫婦がそれぞれに働いていて経済的な問題が無ければ離婚を留まる理由はなくなります。経済的な問題を理由に離婚を思いとどまるということは、経済的な問題さえなくなれば離婚へのハードルはグンと低くなるということです。共働きによる夫婦それぞれの経済力の強化が離婚率上昇の一因であることはまず間違いありません。

21世紀に入ってからは緩やかに離婚率が下がっていることからみると、不況が離婚を思いとどまらせていると側面があります。共働きで一定の経済力があるとは言っても、不況が続く現在では離婚して一人で生活していくのはかなり苦しいところです。不況と離婚率の関係を見てみると、お金だけが夫婦をつなぎとめているような離婚寸前のカップルが少なくないことが推察できます。

日本の離婚状況の中でも注目すべきなのが高齢夫婦の離婚、いわゆる熟年離婚です。結婚後20年以降に離婚する熟年離婚の件数は右肩上がりに増加しており、離婚率を押し上げる要因となっています。熟年離婚が増えた原因の一つとされているのが、年金分割が認められたことです。以前は夫婦が離婚してしまうと年金がもらえなくなったり減額されてしまっていたのですが、年金の分割が認められたことで熟年離婚をしても生活できるめどが立ったため思い切って離婚を選択する熟年夫婦が増えているのです。

離婚率というのは全国平均の数値であり、細かくデータを分析すると都道府県によって離婚率にばらつきがあることがわかります。離婚率トップの都道府県は沖縄県です。沖縄というと温暖で温かく家族仲良く生活しているというイメージがありますが、離婚率は0.259％となっており全国平均を大きく上回っています。沖縄の離婚率の高さの原因の一つが経済的な問題です。沖縄は全国平均と比較すると求人倍率など労働環境が悪く働きたくても働けない、働いても低収入というのが現状です。夫婦生活を維持していくためにはある程度の経済力が必要ですが、経済的な問題が原因で別れてしまうカップルが多いため離婚率が高くなってしまうのです。また、女性が強いため嫁姑問題がこじれやすかったり、そもそも一生懸命働こうという風潮が低いというのも離婚率を押し上げている原因となっています。

沖縄に次いで離婚率第2位の都道府県は北海道です。北海度の離婚率の高さも経済的な理由が考えられます。北海道や沖縄は経済振興が重要課題と長年言われ続けていますが、経済問題がが離婚率にも大きな影響を与えているのは沖縄と北海道の両県の離婚率の高さが証明しています。