
別居期間が10年以上経過したため妻に離婚を求めたが、妻から裁判基準に照らしてあまりに過大な請求があったので、妻を説得し、過大な要求を依頼者の支払い可能な範囲に減額させ、協議離婚した事例
妻と一緒にいることが苦痛でうつ状態となり、平成18年から実家に戻り生活していました。
別居期間が長く経過し、夫婦関係の実態が失われていたことが大きな理由でした。
住宅ローンや婚姻費用の支払いで自身の生活費がわずかとなり、精神的にも限界に達していました。
相手の主張
弁護士の懸念・対応: 「既に別居期間が10年以上あり、裁判でも離婚が認められる可能性が高い」と伝達。その上で、直ちに離婚に応じるなら裁判より有利な条件を出すと提案。
養育費は月9万円が限界、生命保険は解約、学費負担は年額48万円まで、不動産維持費は居住者が負担すべきと主張。
当初は納得しなかったが、法的な根拠と依頼者の支払能力の限界について粘り強く説得を受けた結果、徐々に軟化した。
別居期間が10年以上に及んでおり、裁判になれば離婚が認められる可能性が高い状況でした。この事実を交渉のテコとして相手方に伝え、早期解決のメリットを提示することで、協議離婚のテーブルにつかせることができました。
相手方からの養育費や学費に関する要求は法的に認められる限度を大きく超えるものでした。弁護士が介入し、法的基準と依頼者の実際の支払能力に基づいた現実的なラインを粘り強く主張することで、過大な負担を回避しました。
夫 48歳 教員
妻 52歳 アルバイト
離婚原因 性格不一致のため一緒にいると苦痛(一緒にいるとうつ状態になる)長期別居
きっかけ 別居期間が10年以上経過したこと
財産 預貯金・不動産・生命保険・学資保険
子ども 2人
Cさんは、妻Dとの性格が合わず、妻Dと一緒にいることが苦痛となり、うつ状態になるようになりました。
平成18年にCさんは妻宅から出て実家で暮らすようになりました。しかし、お子さんのこともあり、Cさんは住宅ローン・生命保険料・学資保険料・固定資産税を支払ったうえで婚姻費用を支払ってこられ、残りのわずかな収入で生活してこられました。
しかし、そのような生活も限界に来ており、離婚しなければ精神状態も回復しないと考え、離婚を決意されました。しかし、当事者間の協議ではCさんが心理的につらく、かつ進展もしなかったため、当事務所に依頼されました。
別居期間が3年以上経過すると、特に離婚原因がなくても裁判では離婚が決められるようになります。そこで、弁護士は、「既に別居期間が10年以上経っていることから、離婚が認められる可能性が極めて高い。しかし、直ちに離婚してもらえるなら、裁判で認められるより有利な条件で離婚する用意がある。」と妻Dに伝えました。
妻Dは、上記説得により離婚には前向きに考えるようになりましたが、以下のような過大な要求をしてきました。
① 養育費として月10万円支払ってほしい
② 住宅ローンを支払ってほしい
③ 生命保険料・学資保険料を支払ってほしい
④ 学資保険だけでは大学学費が足りないので長男に対しては3~4年生の2年間50万ずつ、次男に対しては2年間100万ずつ支払ってほしい。
⑤ 不動産共益費・マンション修理費・子どもの修学旅行代金等を支払ってほしい
Cさんは子どもたちのためにできる限りのことをしたいと考えていましたが、妻Dの要求は法的に認められる限度を大きく超えたものであり、かつCさんの支払能力を超えていました。
そこで弁護士は「①法的には養育費は8万円程度に過ぎないので、月9万円以上は支払えない、③離婚する以上、Cさんを被保険者とする生命保険は解約すべき、④Cさんの支払能力から考えて、学費として負担できるのは年額48万円が限度、⑤不動産共益費・修繕費は居住者が負担すべきものであり、子どもの修学旅行代等も妻Dが負担すべき。」と妻Dを説得しました。
妻Dはなかなか納得しませんでしたが、最終的には上記主張全てを認めさせ、上記内容で公正証書を作成して協議離婚しました。

寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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