
単身赴任中の不貞が原因で平成25年から疎遠に。お子様の成人を機に、夫側から離婚届が送られてきたことが転機となりました。
離婚に応じないAさんに対し、夫が令和4年から婚姻費用の支払いを停止。生活の維持と将来への不安から解決の必要性が生じました。
10年以上の別居は判決で離婚が認められるリスクがあるため、離婚はやむなしとしつつも、最大限の財産分与獲得を希望されました。
相手の主張
弁護士の対応:
単身赴任中は生活費も支払われており、経済的協力関係は続いていたと反論。離婚の意思表示があった令和2年を基準日とすべきと主張しました。
以前、夫自身が「不動産を渡してもよい」と発言していた事実を指摘。この発言を反故にすることは許されないと強く迫りました。
「早期に解決できるなら、不動産を譲渡してもよい」と夫側が条件を受け入れ、協議による合意の道が開けました。
財産分与を少なくしようとする相手方に対し、経済的協力関係の継続を緻密に立証。不利な基準日を回避し、共有財産の評価を有利に導きました。
判決であれば2,500万円程度となるところ、協議で「不動産譲渡」を引き出したことで3,000万円相当の資産を確保。訴訟リスクを避けつつ最大の利益を実現しました。
10年別居した夫から不動産を財産分与で取得して協議離婚した事例
依頼者 妻
夫 60歳 会社員 東京都在住
妻 59歳 教員 大阪府豊中市在住
離婚原因 夫の不貞行為
きっかけ 夫が離婚を求めて離婚届を送ってきたこと、婚姻費用の支払いを打ち切られたこと
財産 不動産 預貯金
子ども 2人(成人)
Aさんは単身赴任中の夫Bの不貞行為が原因で夫Bと疎遠になり、平成25年から会っていませんでした。当時は子どもが未成年でしたので、Aさんは離婚する決心がつきませんでした。
令和2年、夫Bから離婚届が届き、「結婚したい人がいるので離婚してほしい。不動産を渡してもよい。」と言われました。
夫Bは有責配偶者ですから、Aさんは放置していました。ところが、夫Bは令和4年から婚姻費用の支払いを停止しました。困ったAさんは当事務所に相談に来られました。
夫の不貞行為が原因であったとしても、会わなくなって10年が経過していますので、夫Bから離婚訴訟を提起されると、裁判所が「別居から10年以上経過した」と認定し離婚が認められる可能性があります。また、Aさん自身もこれ以上夫Bと関わりたくないため、離婚やむなしと決意されました。
ただ、「将来が不安なのでなるべく財産分与を多くしたい。」との希望をお持ちでした。そこで弁護士は、夫Bに内容証明郵便を送るとともに、財産分与の基準時は「夫Bが離婚届を郵送し、離婚に向けた別居が始まった令和2年とすべき」と主張しました。ところが夫Bは、「財産分与の基準時は不貞行為が発覚した平成25年である。」「平成25年の双方の財産を提出し、その2分の1の財産分与で離婚したい」と主張し、財産分与額を少なくしようとしてきました。
そこで弁護士は、「単身赴任していただけでは、離婚を前提とする別居に切り替わっていない。生活費を夫Bは支払っていた。令和2年に夫Bは離婚意思を表明した上で、令和4年に婚姻費用の支払いを止めた。令和4年に経済的協力関係がなくなったのであるから、令和2年を財産分与の基準日とすべきである。」と主張しました。そして夫Bに令和2年現在の財産を開示するよう求めました。また、令和2年に夫Bは「不動産を渡してもよい。」と発言していましたので、「上記発言を反故にするのは許されない。」と弁護士は主張しました。
その結果夫Bは、「早期に解決できるから、不動産を渡してもよい。」と言うようになりました。不動産の価値は約3000万円でしたが、夫Bの退職金を含む令和2年の不動産以外の全財産は多くても2000万円程度でした。したがって、判決によれば、Aさんは約2500万円しか取得できません。不動産を取得できるのであれば、判決によるよりも多くの財産分与をAさんは取得することができます。そこでAさんは、お互いに財産を開示せず、夫Bから不動産を取得して協議離婚することにしました。

寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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