不動産を折半し、残りの財産は各自のものとして熟年離婚した事例
依頼者 夫
夫 65歳 無職 大阪府吹田市在住
妻 60歳 パート 大阪府吹田市在住
離婚原因 性格の不一致
きっかけ 夫が関係修復の努力を開始して3年が経過したこと
財産 預貯金・不動産・保険・確定拠出年金・株式・投資信託
子 なし
有責配偶者であったAさんは、単身赴任から戻ってから、妻Bとの関係を良好なものとしようと努力しました。しかし、妻Bはそれに全く応じず、家庭内別居のような状態が3年以上続きました。
Aさんはこれ以上の関係修復は不可能と判断し、実家に帰ると同時に当事務所に依頼され、離婚交渉を開始しました。
Aさんは通帳等を妻Bに預けていたので、弁護士は妻BにAさん名義通帳等を返すように求めましたが、妻Bは拒否しました。やむを得ずAさんが取引履歴を取り寄せたところ、退職金等を入れていた約1900万円がなくなっていました。
妻Bが着服して隠しているのではないかと考えたAさんはあらゆる調査をしましたが、妻B名義の財産は発見できませんでした。妻Bは生活費に費消したと言い続けていました。妻Bがどこかに隠していると考えたAさんは、離婚条件として、「①不動産を売却して折半する、②妻BがAさんに1650万円を支払う」という案を提示しました。
しかし、妻Bは拒否し、「不動産に住み続けることができないなら、離婚自体をも拒否する」と言い始めました。
有責配偶者であるAさんは、離婚訴訟を提起しても勝訴することは難しい状況でした。しかし離婚が成立しないと、Aさんは婚姻費用を支払続けなければならなくなる上、不動産の固定資産税等を支払続けなければなりません。
そのためAさんはとにかく早期の離婚を要望しておられました。
そこでAさんと弁護士は協議し、「①妻Bは3ヶ月以内に不動産から退去する、②不動産は売却して代金を折半する」という離婚条件を提示し、これに応じなければ不動産を売却すると宣言しました。不動産はAさん名義でしたので、妻Bが退去・離婚に応じないなら、「妻Bが居住したままでも買い取る」という不動産業者に売却するとAさんは決心しました。
Aさんがこのような決心をして最終案を提示したことにより、妻Bは不動産に住み続けることを諦め、離婚に応じることにしました。その結果、上記①②の条件で調停離婚が成立しました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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