
妻に離婚後約2年間の不動産明渡しの猶予を与え、その間の住宅ローンを妻が負担する内容で離婚した事例
依頼者 夫
夫 52歳 公務員 兵庫県伊丹市在住
妻 48歳 会社員 兵庫県在住
離婚原因 モラハラ
きっかけ 妻から離婚を求められた
財産 不動産・預貯金・退職金・子どもの預貯金、自動車
子ども 3人
Aさんは、しばらく単身赴任で家族と離れて生活していましたが、単身赴任が終了して自宅に戻ると、妻BはAさんが自宅(Aさん名義の不動産)に入るのを拒否し、弁護士に依頼してAさんに離婚を求めてきました。
その際、妻Bは「離婚が成立したらAさん名義の不動産から自分も出て行くので、その後なら不動産を売却して構わない。」と言っていたため、やむなくAさんは妻Bと別居を開始しました。
また、Aさんとしても、妻Bの長年に渡るモラハラが我慢の限界に達しており、離婚自体を争うつもりはありませんでしたので、妻Bとの離婚協議を当方に依頼されました。
弁護士がAさんから事情を聞いたところ、「Aさん名義の預貯金口座の管理を含め、全ての財産を妻Bが管理していた」とのことだったため、弁護士は、妻Bに対し、Aさん名義の財産を含め、妻Bが管理する全ての財産の開示を求めました。
しかし、妻Bが開示してきた財産の中に、預貯金等の財産はほとんどなく、別居直前にAさんの口座に入金された給与や賞与も、ほぼ全額を妻Bが引き出していました。
そのため、弁護士は、「未開示の財産があるはずだ」と主張して、追加の財産資料の開示を妻Bに求めました。
すると、突然妻Bは婚姻費用分担調停を申し立ててきました。
弁護士が妻Bにどういうつもりなのか確認すると、妻Bは「気が変わったので離婚しない。未開示の財産もない。不動産を出て行く約束などしていないので、今後も住宅ローンをAさんが支払うよう求める。」等と前言を翻して極めて理不尽な主張をしてきました。
そこで弁護士は、離婚調停を申し立て、調停手続き内で協議を続けることにしました。
婚姻費用調停に関しては、弁護士は、「退去する約束を反故にした妻Bのために住宅ローンを支払うことはできないので、妻Bが居住し続けたいのであれば、妻Bが住宅ローンを支払うよう求める。」等と主張して交渉し、これを妻Bに認めさせました。
また、妻Bは、Aさんに対し、月22万円の婚姻費用に加え、長女の大学の学費の負担を求めてきました。
これに対し、弁護士は「妻Bの婚姻費用の請求は、双方の年収に照らすと過大である。」「Aさんが長女の大学進学に同意したことは一度もないし、妻BがAさんの預貯金口座から預貯金を全て引き出したことが原因で、Aさんには婚姻費用とは別に学費を負担できる経済的な余力もない。そのため、Aさんには長女の学費を負担する義務はない。」等と反論していきました。
その結果、婚姻費用分担調停は不成立となって審判に移行し、最終的に「婚姻費用を月20万円とし、それとは別に長女の大学学費を負担する義務がAさんにあるとは認められない」という内容の審判が出されました。
離婚調停に関しては、妻Bは「未開示財産はない」と引き続き主張していましたが、弁護士は、別居直前のAさん名義の口座の取引履歴等から、明らかに生活費として費消できないほど高額な出金を妻Bが別居直前に行っていたことを主張立証しました。
ただ、Aさんは、妻B名義の財産だけでなく、従前自身の給与や賞与が何に使われていたのかもほとんど把握しておらず、妻Bが隠し持っている可能性のある銀行口座の予想すら困難な状態だったため、妻Bが隠し持っている可能性のある金額を特定するのがほぼ不可能な状況でした。
また、妻Bは離婚には応じる意向を見せたものの、不動産からすぐに退去することを強硬に拒否していたため、仮に調停を不成立にして離婚訴訟を提起しても、判決が確定するまで(妻Bを不動産から強制退去させることを法的に実現するまで)に、少なくとも更に1~2年程度必要になると考えられました。
弁護士は、以上の点を踏まえて妻Bとの交渉を続け、最終的に、妻Bに70万円程度の未開示財産があることを前提に財産分与額を算定することを妻Bに認めさせ、不動産の明渡しを離婚後約2年間猶予する代わりに、その間の住宅ローンを全て妻Bが負担することも妻Bに認めさせました。
その上で、①Aさんから妻Bに支払うべき財産分与額(410万円+不動産の売却益の2分の1)については、離婚時に支払うのではなく、妻Bが不動産から退去した後に同不動産を売却し、その売却金の中から全て支払うことも妻Bに認めさせました。
②養育費については、算定表どおりの月15万6000円(Aさんは長女の学費を一切負担しない内容)で合意しました。
以上より、最終的に上記①②の内容で調停離婚を成立させました。

寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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