弁護士による離婚相談

１　喪失感

当然のことですが、離婚すると夫婦は一緒に暮らさなくなります。

これは、モラハラ夫にとって、自分の支配下に置いていた相手がいなくなることを意味します。そのため、離婚すると強い喪失感を感じるモラハラ夫は珍しくありません。

２　孤独感

離婚すると共に生活していた家族がいなくなりますので、モラハラ夫に限らず寂しさや孤独感を感じることはあります。

その場合、婚姻中よりも友人付き合いを増やしたりして、離婚による孤独感を埋めようとする男性も多いです。

ただ、モラハラ夫の場合、プライドが高い人が多く、離婚したことを話せるような友人が少ないことも多いです。

そのため、モラハラ夫は、その他の男性と比較すると、孤独感を埋める手段が乏しく、離婚による孤独感を強く感じるケースは多いと考えられます。

３　元妻や子どもに執着する

モラハラ夫には基本的にモラハラをしている自覚はありません。

そのため、離婚してもモラハラ夫が自身のモラハラを反省することは少ないと考えられますが、離婚するとモラハラ夫は上記のような喪失感や孤独感を感じ、妻や子どもとの繋がりが断たれることの不都合を自覚することになります。
　　
その結果、離婚した後も、元妻や子どもに執着するモラハラ夫も一定数います。

モラハラ夫は離婚後、元妻や子どもに嫌がらせをすることもある

離婚による影響のうち、モラハラ夫が喪失感や孤独感を感じるだけであれば元妻には関係のない話ですが、離婚後もモラハラ夫が元妻や子どもに執着するようなケースでは、元妻に多大な負担がかかってきます。

元妻や子どもに執着するモラハラ夫の言動としては、無理に用事を作って元妻や子どもに連絡してきたり、頻繁に元妻や子どもにメール・ラインをして離婚後の生活に干渉するといったものがあります。

酷い場合は、元妻が「もう連絡しないでほしい」とモラハラ夫に求めても、それを無視して連絡を続けたり、待伏せ等のストーカー行為に及ぶケースもあります。

このように元妻からすれば嫌がらせとしか思えない行為であっても、モラハラ夫には嫌がらせをしているという自覚すらないケースもあるため、注意が必要です。

離婚後のトラブルを防ぐためのモラハラ夫との離婚時のポイント

離婚後のモラハラ夫とのトラブルを防ぐためには、離婚後にモラハラ夫と連絡を取る必要性をできる限り少なくすることが大切です。

そのためには、離婚時に以下のような対応を取っておく必要があります。

１　離婚条件を具体的に取り決める

離婚時に離婚条件を具体的に取り決めておけば、元夫と離婚後に改めて離婚条件に関する話合いをする必要がなくなります。

幼い子どもの面会交流の日程調整など、離婚後も元夫と連絡を取らざるを得ないケースもありますが、その場合でも離婚後のやりとりを最小限にするために、取り決めが事前に可能な部分（面会交流の頻度や時間等）については離婚時に取り決めておいた方がいいでしょう。
　

２　公正証書又は調停調書を作成する

養育費のように、離婚後に元夫から支払ってもらう必要があるものについては、公正証書又は調停調書で取り決めておくべきです。

公正証書又は調停調書にしておけば、離婚後に元夫からの支払が滞ったとしても、元夫の給与や財産への強制執行が可能になります。

３　離婚後に行う必要のある手続きについて予め確認しておく

夫の扶養から子どもを外す手続きなど、夫の協力が必要な離婚後の手続きもありますので、離婚後必要な手続きやその内容を予め確認しておいた方がいいでしょう。

その上で、夫の協力が必要な手続きが決まっている場合は、離婚前に夫に手続きへの協力を約束してもらい、段取りについても事前に夫に説明しておくことが望ましいです。

モラハラ夫と関係を断つために

以上のとおり、離婚後も元妻の生活に干渉しようとするモラハラ夫も一定数いますので、モラハラ夫と離婚さえできれば安心というわけではありません。

モラハラ夫と関係を断つためには、離婚時に離婚条件等に関する取り決めを行った上で、離婚後のモラハラ夫との連絡を最小限に留めることが大切です。

また、仮に離婚後にモラハラ夫から連絡があっても、必要な連絡以外には応じないといった毅然とした対応をとっていく必要があります。

モラハラ夫との離婚をお考えの場合は、一度当事務所へご相談ください。

寺尾　浩（てらお　ひろし）

平成４年３月　一橋大学法学部卒業

平成９年　　　司法試験合格（５２期）

離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。

また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去（離婚交渉）に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。

問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。１人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。

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