不動産を財産分与してもらうには、夫に1000万円を支払わなければならないところ、交渉により1000万円の支払いを免れ、22歳までの養育費を取得した事例
依頼者 妻 茨木市在住
妻 40歳 アルバイト
夫 40歳 公務員
離婚原因 酒癖の悪さ・精神的虐待・浪費
財産 不動産・預貯金
子ども 11歳・12歳
Eさんの夫は酒癖が悪く、酔ってはEさんに暴力をふるい、暴言による精神的虐待を繰り返しました。そのためEさんは離婚を決意されました。暴力をふるっていた夫と自分で交渉することは不可能と判断され、当方に依頼されました。 Eさんの収入がそれほど多くないため、不動産を取得したいと考えておられました。また、双方とも4年生大学を卒業しておられましたので、子どもたちを大学に進学させたいと考えており、22歳まで養育費を受け取りたいと考えておられました。 しかし、不動産(時価2000万円、残ローン550万円)取得時に夫の母が1000万円を支出していたため、夫婦共有財産となるのは不動産の約60%でした。そのため、Eさんが不動産を取得するためには残ローン550万円を支払う義務が法的には生じて、なおかつ夫に約1000万円を支払わなければなりません。 Eさんにはそのような資力はありませんので、弁護士は、「Eさんの今後の収入見込みが苦しいこと、子どもたちを大学に進学させたいこと。」を伝え、夫に譲歩するように交渉しました。当初夫は、「不動産をEさん名義にすれば十分な経済的援助をしたことになる(約1000万円)。養育費については0円か少額、20歳までで十分なはずである。」と主張していました。 しかし弁護士は、「マンション管理費として月約2.5万円程度かかることなどもあり、子どもを大学に進学させるには、月8万円(法的には約6万円が妥当だった)22歳までの養育費が必要である。」旨、夫を説得しました。 その結果夫は、「マンションをEさん名義にする。養育費として子どもが18歳までは7万円、18~22歳までは8万円を支払う。」ことに同意しました。 Eさんとしては、大学の学費の半分程度も負担してほしいと考えておられました。しかし、不動産の名義をEさんに変えてもらううえに、1000万円の支払いを免除してもらえていましたから、これ以上の要求をして夫を怒らせてしまうと1000万円の支払いを要求されるかもしれないと考え、夫の同意どおりの条件で離婚することにしました。養育費については約10年の長期になることから公正証書を作成し、年金分割についての定めもして終了しました。
寺尾 浩(てらお ひろし)
平成4年3月 一橋大学法学部卒業
平成9年 司法試験合格(52期)
離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。
また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。
問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。
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