妻から子の学費全額の支払・養育費・財産分与・子名義預金の財産分与からの排除を求められたが、①学費を収入比例配分で支払うが、養育費はなし、②子名義預金を財産分与対象財産としたうえで特有財産を認めさせ、調停離婚した事例
依頼者 夫
夫 56歳 教師 吹田市在住
妻 56歳 教師 大阪市在住
離婚原因 性格の不一致
きっかけ 「自由になりたい。」と言って妻が出て行った
財産 不動産・預貯金・保険・車・株式
子ども 未成熟子1人
Aさんの妻Bは「自由になりたい。」と言って別居し、弁護士を通じて婚姻費用や子の学費全額を支払うよう要求してきました。
Aさんとしては、「離婚はやむを得ない。」と思っておられました。
しかし妻Bは5年ほど前に「退職したい。」とAさんに言ってきました。これから子に多額の学費がかかることから、Aさんは「退職すると子の学費が支払えなくなるのではないか。」と質問しました。すると妻Bは「私の実家が子の学費を全て支払うと言ってくれているので、退職させてほしい。」と言ってきました。Aさんは「妻Bの実家が子の学費を払ってくれるなら、妻Bが退職しても子の学費を支払うことができ、生活もやっていける。」と考え、妻Bの退職を了承しました。
このような経緯で妻Bが退職した経緯があったので、Aさんは子の学費を支払うことに納得がいきませんでした。
また、妻Bは復職しようとすればでき、Aさんと同額の収入を得られるにもかかわらず、アルバイトのみを行い、「約120万円の年収しかない。」と主張し、それを前提とした婚姻費用を請求してきました。
Aさんはこれにも納得できず、当方に依頼されました。
妻Bは、当方の提示した婚姻費用に納得せず、調停を申し立ててきましたので、当方も離婚調停を申し立てました。
調停で相手方は、「①学費全額の支払と養育費(扶養料)、②Aさん名義の全ての財産の半額の財産分与、③子ども名義の預金を財産分与対象財産から外すこと」を求めてきました。
そこで弁護士は、①学費は相手方が負担すべきこと、妻Bの復職時年収を前提として養育費を算定すべきことを主張し、②Aさん名義の不動産・預貯金にはAさんの父の遺産が入っており、一部が特有財産であることを主張立証しました。また、③「子ども名義の預金はAさんの収入から蓄えたものであるから、夫婦共有財産であって財産分与対象財産である。」と主張しました。
裁判官は、妻Bの年収を復職時の年収とすることには難色を示しましたが、妻Bの退職時の経緯についてのAさんの主張を信用してくださり、①学費については、双方2分の1ずつを負担してはどうか、②Aさんの特有財産は認めるべき、③子ども名義預金は夫婦共有財産とするという調停案を提示しました。
妻Bは、②③については受け入れましたが、①については受け入れず、「Aさんと妻Bの年収比例配分で負担すべき」と主張して譲りませんでした。
しかし、弁護士が粘り強く説得した結果、「学費について年収比例配分で支払うなら、子の養育費(扶養料)は支払わなくてよい。」という妻Bからの譲歩案を引き出しました。養育費相当額は月11万円(2年総額264万円)でしたので、Aさんはこれに納得され、①学費を収入比例配分で支払うが、養育費はなし、②財産分与として妻Bに2500万円支払うかわりにAさんは不動産を取得する(③子ども名義の預金は夫婦共有財産としたうえで)という調停離婚を成立させました。
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<p><strong>平成4年3月 一橋大学法学部卒業</strong></p>
<p><strong>平成9年 司法試験合格(52期)</strong></p>
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<p>離婚交渉は当事者にとって精神的につらい作業です。</p>
<p>また離婚は、過去を断ち切って新たな人生の一歩を踏み出す行為ですから、いつまでも過去(離婚交渉)に時間をとられるのは両当事者にとって得策ではありません。そのため、私は離婚問題を早期に解決することを重視しています。</p>
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<p>問題を解決する方法は一つしかありません。それは行動を起こすことです。1人で悩んでいても、同じ考えが頭の中をぐるぐるするだけで、何の解決にもなりません。思い切って専門家にご相談ください。</p>
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